別離はほろ苦いものだ。じきに別れを告げるパートナーが感じよく振る舞うときはなおさらだ。米製薬・日用品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は24日開いた22年10-12月期(第4四半期)決算の説明会で、コンシューマーヘルス部門を年内にスピンオフ(分離・独立)する計画であることを確認した。J&Jはすでに今月、新会社「Kenvue(ケンビュー)」として新規株式公開(IPO)を申請している。スピンオフの狙いは、成長スピードの遅いコンシューマー(消費者向け)事業を分離することで、J&Jはより成長の早い分野、すなわち医療技術・製薬部門に集中できるということだ。ところが直近の四半期では、コンシューマー部門が増収だった一方、製薬・医療技術部門は振るわなかった。主な理由は、解熱鎮痛剤「タイレノール」や「モートリン」などの市販薬に対する需要の高まりだ。今冬は周知の通り、地元の薬局のせき止め薬や風邪薬の棚が品薄になっていた。呼吸器系感染症が急増し、米国の家庭が市販薬を急ぎ買い求めたからだ。こうしたウイルスは秋から冬にかけてよく見られるが、今冬の増え方は異例だったと、データを集計した複数の会社は指摘する。その需要を受け、10-12月期のコンシューマーヘルス部門の売上高は37億7000万ドルと、前年同期の37億3000万ドルから増加した(他の2部門の売上高は前年同期比で減少)。
J&Jコンシューマー部門との別離、ほろ苦さ残るか
10-12月期決算で唯一増収だったのはスピンオフ予定の部門
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