日本人中高齢者の食生活と握力との関連を検討したところ、より日本食らしい食事パターンの人ほど、握力低下が少ないことが明らかになった。一方、地中海食らしい食事パターンは、握力低下に対する保護的な効果は見られなかったという。長野県立大学健康発達学部の清水昭雄氏、神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部の遠又靖丈氏、三重大学医学部附属病院リハビリテーション部の百崎良氏らの研究によるもので、詳細は「International Journal of Environmental Research and Public Health」に10月3日掲載された。
日本食と地中海食はどちらも健康的な食事パターンとして知られており、それらを順守している人ほど心血管疾患や全死亡リスクが低いことが報告されている。ただ、日本を含む先進諸国では人口の高齢化を背景に、筋力や筋肉量が低下した状態であるサルコペニアを予防することの重要性が増している。そこで清水氏らは、日本食または地中海食の順守と、サルコペニアの主要な関連因子である握力低下との関連を横断的に検討した。
研究には、独立行政法人経済産業研究所などが行っている中高齢者対象調査「くらしと健康の調査(JSTAR)」のデータを用いた。JSTARは、国内10都市の50歳以上の地域住民から無作為に抽出された人を対象とするパネル調査であり、その参加者のうち今回の研究で解析に必要なデータがそろっている6,031人(平均年齢62.8±7.0歳、女性53.6%、BMI23.1±3.1)が対象とされた。