7月、コンサルビッグ4の一角であるPwCコンサルティングの新CEOに安井正樹氏が就任した。そこで今回、ダイヤモンド編集部では安井氏へのインタビューを実施。長期連載『コンサル大解剖』の本稿では、前編と中編に続き安井氏のインタビューの後編を配信する。安井政権で掲げる「王道のコンサル」を実現するための重要な取り組みとして、安井氏が「5機関連携」と「組織横断型イニシアチブ」という2つの施策を解説する。また、コンサル市場でニーズが高まるテクノロジービジネスについても、その成長戦略に関する考えを明らかにした。
ユニークな機関と組織横断の連携で
王道のコンサルを行く
――PwCコンサルティングでは、シンクタンクの「PwC Intelligence」やデザインコンサルの「Future Design Lab」など、ユニークな機関を複数立ち上げ、現在は「5機関連携」という形でそれらの連携を進めています。
連携はうまく進んでいます。実は、期初に出した方針の一つとして、「事業創造」と「事業変革」というキーワードがあります。これも、私の中では「王道中の王道」の領域なのですが、例えば事業創造でいえば、どのお客さまも新しい事業は作りたいんですよね。それができなくて困っているので、われわれとしてはここを支援したい。そして、その事業を創造するときに、その5機関を含めて社内で広く連携する取り組みが必要になります。
それこそ、一球入魂でスライドを作って1年後に完璧なビジネスプランを提示するのでそこからやってくださいとなると、時間かかってしょうがないじゃないですか。だから、例えばFuture Design Labで未来を描いて、(先端技術を担う)「Technology Laboratory」でプロトタイプを作って、素早くローンチさせる。このような動きをして、お客さまからのニーズにど真ん中から応えるためには、やはりこの5機関連携が必須になってきます。
もう一つの事業変革です。労働生産人口が減っていく中で、お客さまは既存ビジネスをどんどん変革させないといけないと考えています。システムを入れることもそうですし、ハイバリューのマネージドサービスもそうですが、この王道のコンサルを支えるものとして、それぞれの機関を含めて、今まで作ってきたピースは全部有効に使えているという気がします。
結局、これも全てクライアントセントリックなんですね。お客さまが求めているからこういうかじ取りをしているということ。われわれのミッションがあり、お客さまニーズが乗っかって、そこから事業創造と事業変革というキーワードを出てきて、これを「人を大事にする」というカルチャーで支えながら伸ばしていく。こうしたメカニズムだと思いますが、これを全くぶれずにやり、これからも強化していきます。
――人を大事にするというカルチャーは、多様な人種が入りやすくすることで、相互連携を深めてバリューを発揮していくという狙いですよね。
それも、もちろんそうです。それに関連して、もう一つお伝えしたい成長戦略があるのですが、この2年ぐらいかけて立て付けた仕掛けとして社内で「組織横断型イニシアチブ」というのに取り組んでいます。
次ページでは、安井氏が「王道のコンサル」を実現する上での鍵となる「組織横断型イニシアチブ」の重要性について力説する。また、競合も注力するテクノロジービジネスの方向性についても明らかにした。