そこで店長が放ったひと言が空気を変えた。「高橋!しっかりと指示を出せ!お前がリーダーだ。俺はお前の指示で動く!」。高橋さんはこのひと言で自信を取り戻し、場はうまく回り始めた。
「そんな気の利いたセリフ、自分には出てこないな」と思った人には、ぜひ本書を手に取ってほしい。「どうして伝わらないんだろう」「なぜあの人は動いてくれないのか」という悩みが解決に近づくこと間違いなしである。(庄子 結)
本書の要点
(1)リーダーに必要なものは特別な能力や実績、カリスマ性ではない。「人をやる気にさせ、能力を引き出す話し方」だ。
(2)自己肯定感を満たすだけでは部下は動かない。「自己重要感」を刺激し、高める必要がある。
(3)部下に注意しなければならないとき、相手の緊張感をやわらげつつ、リーダー自身の心を軽くするコツは「話し終わった後の、部下の状態を先に伝えること」である。
要約本文
◆人を動かすリーダーの共通点
◇話し方で相手をやる気にさせ、能力を引き出す
「もっと部下が思った通りに動いてくれれば……」「どうすればチームがまとまるんだろう?」「指示を出さなくても、人が自然と動いてくれるリーダーになりたい」などと、伝え方に悩むリーダーは多いものだ。一方、ごく一握りだが、部下のやる気と能力を見事に引き出しているリーダーもいる。
悩むリーダーとうまくいくリーダーの違いは特別な能力や実績、カリスマ性ではない。「人をやる気にさせ、能力を引き出す話し方」をしているかどうかだ。
◇部下の自己重要感を刺激する
「相手の自己肯定感を満たせばうまくいく」と思っている人もいるかもしれないが、自己肯定感を満たすだけでは部下は動かない。意識すべきは「自己重要感」だ。
自己肯定感と自己重要感はどう違うのか。自己肯定感は、その人自身が自分の存在を肯定する感覚のこと。自己肯定感の高い人は、社会的立場や実績とは関係なく、自身の存在を肯定できる。