一方、自己重要感は、社会での立ち位置や実績があってこそ満たされるものだ。「大きな仕事を任された」「ポジションが1つ上がった」「何かで一等賞を取った」「すごい人から目をかけられている」「組織で期待されている」などといった感覚に基づくものである。

 ひと言で表現すると、自己肯定感は安心感、自己重要感は特別感だといえる。うまくいくリーダーや慕われるリーダーは、話し方を通して部下やメンバーたちの特別感を高めているのだ。

◇「フォーユートーク」を実践する

 相手の自己重要感を高める話し方を、著者は「フォーユートーク」と呼ぶ。フォーユートークのポイントは7つある。

 1つ目は、「あなたは~」と、相手を主役にして話すこと。誰しも自分自身に一番興味があるため、自分を主役にして話してくれる人に心をひらくものだ。

 2つ目は、相手に疎外感を与えないこと。優秀なリーダーは、常に目の前にいる人と関係のある話をする。自分の話や、相手とかけ離れた立場にある人の話ばかりを続けていては、相手は疎外感を覚えて心の扉を閉じてしまうからだ。

 3つ目は、相手を否定しないこと。ダメ出しされると、人は自分の存在を全否定された気分になる。相手と良好な関係を構築したいなら、まずは相手の考えや気持ちを受け入れよう。

 4つ目は、事前に相手の興味を知っておくこと。人は自分のことをわかってくれる人を好きになる。相手の話をよく聞いたり、あらかじめ相手のことをリサーチしておいたりすれば、会話は自然と進むはずだ。

 5つ目は、相手が自分の未来にワクワクできるようにすること。うまくいくリーダーは、相手に素敵な未来を想像させ、自分の意思で動き始めるよう働きかける。

 6つ目は、「求められているもの」と「伝えたいこと」のバランスを取ること。まずは「相手の興味があること」から話を始め、相手の心を開いてから、「伝えたいこと」に移っていく。

 7つ目は、相手に集中すること。フォーユートークができる人は、「自分がどう話すか」ではなく「どう話せば相手が良くなるか」に集中して話している。