2022年12月15日~23日、ハーバードビジネススクールの学生たち135名が研修旅行、ジャパン・トレックで日本を訪れた。この研修旅行は日本人学生が主体となって企画・運営されているもので、ハーバードビジネススクールで絶大な人気を誇っている。新型コロナウイルス感染拡大で一時中断されていたが、22年12月に再開され、学生たちは広島、京都、熱海、東京を回った。そもそも、ハーバードビジネススクールの学生は、日本の経済、企業、文化をどう見ているのか。また、どのような興味があって日本を訪れたのか。参加者の一人であるエイミー・エジントンさんに話を聞く。(取材・構成/作家・コンサルタント 佐藤智恵)
授業で学んだ「経済が停滞している日本」
実際に見てみたら
日本への研修旅行に参加しようと思ったのは、何よりも子どものころから父や祖父母から「日本は素晴らしい国だ」と聞いていたからです。会社の国際ビジネス部門に所属していた父はよく仕事で日本に出張していましたし、亡くなった祖父母は沖縄県に3年ほど住んでいたことがありました。祖父は空軍のパイロットで、祖母は米軍基地のスタッフ。祖父母からは日本人の友人の話をたくさん聞いてきました。
こうした環境で育った私は、自然と日本に興味を持ち、『ロスト・イン・トランスレーション』などの映画を見たり、『メモワール・オブ・ア・ゲイシャ』などの小説を読んだりして、日本に対するイメージを膨らませていきました。そして、いつか日本へ行って、この目で日本を見てみたいと夢見ていたのです。
ハーバードビジネススクールの授業で日本や日本企業の事例を学んだこともまた、日本へ行きたいという思いを強めるきっかけとなりました。中でも記憶に残っているのが「日本は日の沈む国なのか」というテーマで、日本の経済成長について議論した必修授業です。
というのも、この授業で使った教材に書かれていた日本は、「父が語ってくれた日本の姿」とは違っていたからです。父は日本には面白いテクノロジーやビジネスがたくさんあるよ、と教えてくれたけれども、経済が停滞している国だ、なんて言っていなかった。どっちが本当の日本の姿なのだろうか――。自分の目で確かめてみたいと強く思いました。