対馬から窃盗の仏像で
原告敗訴の逆転判決
長崎県対馬市の観音寺から盗まれ、韓国に持ち込まれた「観世音菩薩坐像」を巡り、韓国の浮石寺(忠清南道瑞山市)が600年前に略奪されたと所有権を主張し、1審で浮石寺の所有権を認めた裁判の控訴審で、韓国の大田(テジョン)高裁は1日、1審判決を取り消し、原告の請求を棄却した。像は現在、韓国政府が保管している。
これまで韓国の裁判所は、日本との係争案件では韓国の国民感情に配慮し、韓国側に有利な判決を行うことが多かった。しかし、今回の浮石寺敗訴の判決は、法と常識を公正に判断した適切な判決だったと評価できる。この判決に対し、浮石寺は判決を不服として上告する意向を示したが、韓国国内で判決を批判する論調は盛り上がっていない。
その背景として、韓国国内における反日を推進する野党「共に民主党」や市民団体の勢いの衰えを感じざるを得ない。
元徴用工を巡る判決にも
韓国世論は比較的冷静
歴史問題にこだわり、日本に対して不当な要求を突き付けてきた朝鮮半島出身労働者(いわゆる元徴用工)を巡る問題でも、対日感情の変化を感じ取ることができる。
裁判所が日本の企業に賠償を命じ、資産を差し押さえた問題について、韓国政府は、日本の誠意ある対応に期待し、公益法人が主体となって韓国企業などから受け取った寄付金で被害者に弁済する方式を検討している。