2月3日、銀行業界では珍しく華やかな会見が開催された。三井住友フィナンシャルグループが3月から提供を開始する個人向け総合金融サービス「Olive(オリーブ)」のお披露目会である。銀行、クレジットカード、証券、保険など、あらゆる金融サービスをシームレスに提供するスーパーアプリだが、“奥の手”のローンチで楽天グループなどからリテールの牙城は死守できるか。特集『メガバンク 最後の審判 三井住友の正念場』の#3では、三井住友FGが仕掛けるリテール(個人向け)ビジネスの収益拡大改革に迫る。(ダイヤモンド編集部 新井美江子)
「ニュースタンダード」と豪語するOlive
目標は「5年で1200万アカウント」
「新商品ではなく、金融サービスのニュースタンダードとして提案する」
2月3日、銀行業界では珍しく華やかに開催された東京都内の記者会見場で、三井住友フィナンシャルグループ(FG)の太田純社長は、自信をにじませながらそう宣言した。
「ニュースタンダード」と豪語するのは、3月から提供を開始する個人向け総合金融サービス「Olive(オリーブ)」だ。銀行、クレジットカード、証券、保険などのあらゆる金融サービス機能を一つのIDでシームレスに提供するスーパーアプリである。
各種サービスは自前にこだわらず、SBI証券やライフネット生命保険など外部との連携も積極的に進め、ラインアップの拡充に動く。アカウント開設数の目標は、ひとまず「5年間で1200万件」だ。
「単に各サービスがインターネット上でつながっているといったものではない」。太田社長はそう念押しするが、その言葉通り、オリーブは、機能と役割の両面で金融の常識を破壊しにかかっているところに独自性がある。
なぜ今、三井住友FGはこうした勝負を仕掛けようとしているのか。そして「手間が掛かる割にもうからない」(銀行幹部)とされるリテール(個人向け)ビジネスで、どう収益を拡大しようとしているのか。
次ページでは、三井住友FGがスーパーアプリという“奥の手”を使って行おうとしている二つの常識破壊について迫る。