メガバンク 最後の審判 三井住友の死角#2Photo:JIJI

三井住友銀行のトップが4月に交代する。新頭取に就任するのは、大方の本命予想を裏切る福留朗裕氏となった。この人事が浮き彫りにしたのは、銀行業界の出世の王道に変化が生じつつある事実だ。特集『メガバンク 最後の審判 三井住友の正念場』#2では、3メガバンクの頭取の顔触れから銀行の「新エリートコース」を読み解くとともに、次の目玉とされる三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)の次期社長人事も予想する。福留氏の人事は異例とされたが、三菱UFJFGのトップ人事でサプライズはあるか。(ダイヤモンド編集部 新井美江子)

想定内と想定外が入り混じった
三井住友銀の“異例”の頭取人事

「三井住友は人材の層が厚い。だからこそ、市場が揺れているこの局面で、マーケットに長けた『まさかの』頭取人事を決められた」

 今年4月に行われる三井住友銀行の頭取交代人事について、ある金融庁幹部はそううなった。

 高島誠氏からバトンを受け取るのは福留朗裕氏だ。「まさか」といわれたのは、これが大方の本命予想を裏切る意外な人事といえたからだ。

 新頭取が、初の旧三井銀行出身者となるところまでは想定内だった。というのも、2021年10月に旧三井銀出身で三井住友銀会長だった宮田孝一氏が、膵臓がんにより逝去。そのため現在、三井住友の首脳4ポストは三井住友フィナンシャルグループ(FG)の会長・社長を含め、旧三井銀出身者が一人もいなくなっていたからだ。

 これは三井住友にとって、不都合な事態といえた。三井グループの社長会である「二木会」や三井系企業への対応を考えると、首脳4ポストに三井銀出身者はいた方がいい。そこで、任期丸6年を迎える高島氏の後任には、旧三井銀出身者が就くだろうとみられていたわけだ。

 福留氏が異例とされる理由は、むしろ入行年次と経歴にある。

 三井住友銀の頭取人事が浮き彫りにしたのは、銀行業界の出世の王道に変化が生じつつある事実だ。

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