水分補給と運動で
血管への負担を軽減
家の中の危険スポットの寒暖差を縮めるほかに、日々の生活を見直すのも血管への負担を軽くするコツ。野田氏によると、意外と見落としがちなのが“寒い季節の水分不足”だという。
「たとえ外は寒くても、屋内は暖かいので汗をかきます。そのため、極端に水分を控えていると、気づかぬうちに脱水症状に陥っている可能性があるのです。血液中の水分が減ると、血液の量も減少します。血液が少ない状態で、激しい寒暖差を感じると血圧が乱高下しやすくなるので、ヒートショックのリスクが上がるのです」
トイレに行く回数を減らすために、寒い日はあえて水分を取らないという人は注意が必要だ。「1日約1リットルの水分を取ると脱水症状が防げるはず」と野田氏。
「摂取量を意識しすぎる必要はありませんが、食事のタイミング以外でも、コーヒーやお茶を飲めば不足した水分を補えます。ただし、心臓や腎臓に疾患を抱えている方は、水分を取りすぎると病状に影響が表れる可能性があります。必ず医師の指示を仰いで適量を取ってください」
加えて、「日頃の運動習慣を見直してほしい」と野田氏はアドバイスする。なかでも、コロナ禍をきっかけに外出が減り、今もリモートワークを継続している人は、より意識的に運動を取り入れるのが理想だという。
「外が寒いと、ただでさえ運動を避けがちですが、運動不足で血流が悪い状態が続くと血管は硬くなり、弱くなってしまうのです。最近は暖かい日が増えているので、積極的に外に出て軽いウォーキングをするなど、無理のない範囲で運動を始めて、しなやかな血管を取り戻しましょう」
トイレや浴室での過ごし方に注意しつつ、これからの季節に向けて生活を整えよう。
野田泰永(のだ・やすなが):春陽会サクラクリニック理事長。筑波大学を卒業後、帝京大学医学部附属病院や国立病院医療センター、循環器外科、消化器外科などに勤務。筑波大学大学院医学研究科にて心臓生理学の研究。1998年に生まれ育った愛知県名古屋市にてサクラクリニックを開院。