インフレ&金利上昇到来! 騙されないための投資術#5Photo:PIXTA

個人投資家からの人気が根強い株主優待。だが、魅力的な優待に目がくらみ、企業業績の確認を怠るケースも多い。そこで、特集『インフレ&金利上昇到来!騙されないための投資術』(全22回)の#5では、株主優待人気ランキングトップ20銘柄をすご腕投資家2人に徹底レビューしてもらった。すると、「優待の改悪リスクに備えるべきだ」と2人の意見が一致する銘柄もあった。(ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)

超人気の株主優待も廃止
増え過ぎた株主を支え切れず

 2022年は、超有名企業の株主優待廃止発表が相次いだ。オリックスとJT(日本たばこ産業)は、その筆頭だ。

 オリックスはカタログから全国各地の商品を選べる「ふるさと優待」、JTは自社グループの食品セットで個人投資家から絶大な支持を受けていた。事実、2社共に優待人気ランキングでは上位の常連だった。

 それほど人気の優待でも、廃止に追い込まれるのはなぜなのか。下図のオリックスとJTの株主数の推移から探っていこう。

 一目で分かるように、優待廃止を発表するまでの数年で、2社共に株主数が急増している。さらに、株式数に占める個人投資家の割合も大きく伸びているのだ。

 オリックスやJTが優待を廃止した理由について、ウェブサイト「楽しい株主優待&配当」などを運営する兼業投資家の竹内弘樹(ハンドルネーム:ひっきー)氏は「株主が増え過ぎたことによる優待のコスト負担が無視できなくなった」ことだと話す。

 また、30代で1億円を超える資産を築いた有名個人投資家のまつのすけ氏(ハンドルネーム)は、「郵送コスト自体が数年前と比べてかなり上がっていることも、株主数の増加と併せて優待廃止に拍車を掛けている」と指摘する。個人投資家からの支持を集める目的で導入する優待だが、あまりに人気が出過ぎるのも考えもの、というわけだ。

「優待の魅力だけに引きずられず、企業業績や株価の割安性、配当利回りなどの指標をチェックして企業を選別するべきだ」とひっきー氏。

 そこで、次ページでは株主優待人気ランキングトップ20銘柄の優待内容と業績期待度を、すご腕投資家のひっきー氏とまつのすけ氏が徹底レビュー。中には、「優待改悪のリスクに備えるべきだ」「優待で株価が押し上げられている」と意見が一致する銘柄も。優待内容や配当利回り、PER等の株価指標と共にリスト化したので、レビューと併せて投資の参考にしてほしい。

【レビュー対象の優待上位20銘柄】

イオン、すかいらーくホールディングス、全国保証、日本マクドナルドホールディングス、ダイドーグループホールディングス、KDDI、日清食品ホールディングス、味の素、日本ハム、ヒューリック、明治ホールディングス、吉野家ホールディングス、コロワイド、綿半ホールディングス、ライオン、日本取引所グループ、ヤマダホールディングス、DM三井製糖ホールディングス、丸大食品、伊藤ハム米久ホールディングス