【最新の認知症治療を実践する脳のカリスマが30年超の長寿研究から導いた幸せな生き方】かつて100歳ブームを巻き起こした『100歳までボケない101の方法 脳とこころのアンチエイジング』の著者で医学博士・白澤卓二が、人生100年時代が現実になった今をよく生きる方法をまとめた『長寿脳──120歳まで健康に生きる方法』が完成。現在の脳のパフォーマンスを上げて、将来寝たきりや認知症にならずに長寿を目指し、人間の限界寿命とされる120歳まで生きる方法を提示します。

【初耳】若いころに激しいスポーツをしていた人の認知症リスクPhoto: Adobe Stock

サッカーの試合からヘディングが消える日

「頭部外傷」という言葉を聞いたことはありますか?

 頭に何らかの力が加わって、脳内などに損傷が起こることをいいます。交通事故や転倒、殴り合いのケンカで頭に大けがをしたなどのハプニングで頭部外傷が起きるのは、ご想像の通りです。

 そうしたことに加えて、剣道で脳天を打つ技、サッカーのヘディング、ボクシング、ラグビーやアメリカンフットボールなどの、ぶつかり合いの際に起きるスポーツ外傷でも、頭部外傷が起こることは少なくありません。

そのときは大丈夫でも、のちに影響する

 スポーツ中に頭を打ったけどすぐに痛みが治まったとか、軽い脳しんとうが起きたものの時間の経過とともに治ったなど、そのときは「大丈夫。なんともない」と思っても、のちのち認知機能に影響することがあるのです。

 2022年夏、イングランドのサッカー協会が、「12歳以下の試合で、意図的なヘディングを禁止するルールを、試験的に導入する」と発表して話題になりました。これは、「プロのサッカー選手は一般の人にくらべて、認知症などで死亡するリスクが3倍以上高い」とする海外の研究結果が出たことなどを受けての試みのようです。

 私が診ている認知症患者さんのなかにも、若いころに激しいスポーツをしていた男性が、一定数いらっしゃいます。心当たりのある方は、今からできることで、認知症リスクを下げる行動をとるといいと思います。

本原稿は、白澤卓二著『長寿脳──120歳まで健康に生きる方法』からの抜粋です。この本では、科学的に脳を若返らせ、寿命を延ばすことを目指す方法を紹介しています。(次回へ続く)

監修 お茶の水健康長寿クリニック院長・医学博士・医師 白澤卓二
1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大学院医学研究科博士課程修了。現在、お茶の水健康長寿クリニック院長。