安くてお得な喫茶店のモーニングに、異変が起きそうです。物価高の直撃で「喫茶店の勝ちパターン」が変わるのです。さらに、消費者にとっても不都合な「カオス」の全貌が見えてきました。(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)
値上げラッシュとコスト高が直撃
喫茶店の「お得なモーニング」は持続可能か?
名古屋出身の経済評論家・鈴木貴博です。昭和世代のビジネスパーソンには「朝食はいつも喫茶店のモーニングだった」という方が多かったはずです。
20代の頃、私がよく通っていた喫茶店では、モーニングの時間帯にはほぼコーヒー1杯分の値段で厚切りトーストとゆで卵、小さなコールスローサラダがついたモーニングセットが提供されていました。
駅前の個人経営の喫茶店のいつもの席に座って、日経新聞を読みながらモーニングを注文して、朝食を食べ終わったら電車に乗って会社に向かう。当時、同じような生活をされていた読者の方も多かったのではないでしょうか。
さて、そのモーニングについてちょっと気になるのが、昨今の値上げラッシュの話です。北米の不作やロシアのウクライナ侵攻の影響で小麦の国際価格が高騰して、パンなどの小麦製品の値上げが進んできたうえに、最近の鳥インフルエンザによる殺処分の影響もあって卵の価格も過去最高値にまで急上昇してきました。
よくよく考えてみれば円安も一時期よりは収まってきたとはいえ、円ドルレートは136円とかなり高いところにとどまっています。つまり、コーヒーの原価も喫茶店から見ればかなり上がってきていることになります。さらには、政府が推し進める従業員の賃上げも今後のコスト上昇要因です。
もともとは、朝に通ってくれるお客さん向けのサービスとして定着した喫茶店のお得なモーニング文化ですが、昨今の国際情勢や国内の景気情勢を加味して考えると「いったいいつまで続けることができるのか?」と、ちょっと心配に思えませんか?
ということで、今回はモーニング文化が継続できるのかどうかについて考察をしてみたいと思います。