ESGや地銀破綻で対立
共和党が「目覚めた資本主義」批判
バイデン大統領が、3月20日、共和党が下院で多数を占める議会で可決された決議に対して、就任して以来、初めての拒否権を発動した。
共和党の主導で、民間企業などの年金を運用する際に、ESG(環境・社会・企業統治)の要素を考慮することを認めた規制を廃止する決議案が可決されたことを受けたものだ。
廃止決議は、気候変動対策や多様性の尊重など、バイデン政権が重視する政策に協力的な企業に対し、共和党が「ウォーク・キャピタリズム(woke capitalism、社会正義に目覚めた資本主義)」との批判を展開する一環だ。
批判は州レベルでも広がり、企業の中にはESGの取り組みに支障が出たり、政治との距離の取り方が課題となったりするなど、混乱と困惑が広がる。
懸念されるのは、シリコンバレー・バンク(SVB)の経営破綻についてもウォーク・キャピタリズムに傾斜した経営を行っていたからだとの批判が出るなど、党派対立が、金融不安がくすぶる米経済の不安定化を助長しかねないことだ。