米連邦政府が2月28日に開始した530億ドル(約7兆2000億円)規模の半導体産業補助金プログラム(「CHIPS法」)は、米国が「産業政策」を活用する歴史的な節目となる。産業政策とは、特定の産業を育成するために政府の資源を明示的に利用することを指す。ワシントンでこうした動きがほとんど見られなかったのには理由がある。どの技術が成功するかを政府が市場よりもよく知っていることはほとんどない上、対象産業の繁栄と何の関係もない目標が育成の足かせになることが多いためだ。こうした懸念による抑制は外れつつある。地政学的な競争、新型コロナ禍による供給不足への関心の高まり、そして二酸化炭素(CO2)排出量ゼロのエネルギーへの移行を受けて、世界各国の政府が産業発展を自国にとって有利になるように進めている。CHIPS法は、電気自動車(EV)などグリーンエネルギー事業に何十億ドルもの資金を投じる「インフレ抑制法」とともに昨年承認された、こうした方向での二つの取り組みのうちの一つだ。
米半導体補助金のリスク、過去の産業政策が示す
月探査ロケットやコロナワクチンなど、特定産業を支援するには的を絞った目標が最も効果的
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