当連載で前回前々回と「主婦の引きこもり」について取り上げたところ、同じような引きこもり状況にある主婦の方や、それ以外の様々な立場の方からも、たくさんの感想やご意見などをいただいた。

「主婦の引きこもり」についていえば、以前から、何となく家族を通じて聞いていたり、たまにメールをいただくこともあったりして、その存在は知っていた。しかし、水面下に これほど多くの方々が人知れず、地域や家庭に埋もれていたのかと想像すると、改めて驚かされる。

0~2歳児の子どもを持つ母親の
20人に1人は引きこもり!?

前回、「主婦の引きこもり」のデータ的な根拠はないと記したが、こうした実態を示唆するような調査結果が1つあった。

「ベネッセ次世代育成研究所」が2011年2月に発表した『首都圏・地方市部ごとにみる乳幼児の子育てレポート』では、0~2歳児の子どもをもつ母親を対象に、首都圏と地方市部に分けて、それぞれインターネットで、平日の外出状況について聞いている。

 有効回答数は、計1500人。そのうち、週に5日(すべての平日)、子どもと「まったく出かけない」と答えた母親が、全体で5.2%に上った。

 もちろん同社の調査の狙いは、95%弱の子育て中の母親の外出頻度のほうにある。しかし、「まったく出かけない」層は確実に存在していて、同調査対象の20人に1人以上にあたる80人近い母親が、少なくとも平日の5日間、まったく外出していないというのは驚きである。

 しかも、その比率は首都圏の4.9%に対して、地方市部のほうが5.5%と、わずかではあるものの上回っている。地方に住む母親のほうが、より「外出することのできない」状況にあることをうかがわせてくれる。

きっかけは「ママ友との人間関係」?
主婦が引きこもりになる理由

「(当連載で取り上げた主婦の方が)引きこもりになられた理由は、いろいろありますが、私が以前取材した主婦の方との共通性も見受けられます」

 こう分析するのは、10年ほど前に「引きこもり主婦の叫び」という特集を『サンデー毎日』誌上で連載し、『ルポ 子どもの無縁社会』(中央公論新社・中公新書ラクレ)など、家族が抱えるリアルな問題について数多くの著書がある、ノンフィクションライターの石川結貴さんだ。