「超悲観主義」で何が悪い!
そもそも、超楽観主義なだけのマネジャーというのは非常に危険です。
大事な仕事をチームメンバーに預け、その細部までチェックできない以上、いつ何時トラブルが起きるかはわかりません。そうしたトラブルへの備えは常に万全であるべきです。そうしなければ、「任せて任せず」は実現できません。
人がいない場面では「超悲観主義」で良いのです。
私自身、もともと気が小さいせいか、メンバーに仕事を任せた直後から心配でたまらなくなります。
ただ、これはメンバーも同じでしょう。彼らも、不安を抱えているはずです。いくら楽しくミーティングをしていても、席に戻った瞬間、目の前の仕事に対する不安に押しつぶされそうになっているかもしれません。
かつての私は「失敗恐怖症」とすら呼べるほど、悲観的でした。失敗して、自分の成績が落ちたらどうしよう。私の失敗で、顧客、役員、会社に迷惑がかかったらどうしよう。そんな不安といつも戦っていました。
一方で、リスク回避ばかりやっていても、自分が成長できないと感じてもいました。
自分を伸ばしていくには、ある程度冒険してリスクを取る必要もあります。自分にとって新しいことにも挑戦したい。そんな相克をずっと抱えていました。
私の場合、良い上司に恵まれたことが、その相克から救ってくれました。上司が、私がリスクを取りやすい環境を作ってくれたのです。
私が仕事に強いオーナーシップで取り組んでいる時には、思い切って大きなリスクを取らせてくれました。自分の仕事範囲を広げてくれる時もあれば、大事な報告会での発表を任せてくれたり、新しい手法への挑戦を認めてくれたりもしました。
そうした上司からの教えと自分のマネジャーとしての経験から、どうしたらメンバーの心労を減らしつつ、リスクテイクを奨励し、かつ最終的な仕事品質や実績のレベルを保つようにできるかという方法を考え、実行してきました。
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山本真司 著