一度覚えたら忘れない英語勉強法#13Photo:PIXTA

今度こそ英語を身に付けようと一念発起したものの、書店には数多くの書籍が並び、過去にもあまたのベストセラーがある。どの教材を使えばいいのか。使ってはいけない教材はあるのか。特集『一度覚えたら忘れない英語勉強法』(全16回)の#13では、言語脳科学者の酒井邦嘉・東京大学教授が、危ない教材の見分け方を指南する。(構成/冨田ユウリ)

「週刊ダイヤモンド」2023年2月11日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

「聞き流すだけ」の英語教材を
毎日聞き続けても上達しない理由

「聞き流すだけ」のうたい文句で一大ブームを巻き起こしたスピードラーニング。2021年に事業を廃止したというニュースは大きな話題となった。スピードラーニングは1989年から事業を開始。毎月3800円(税別)で定額制学習プログラムのCD教材が届き、各回につき英語音声のみと英語と日本語音声のCDが2枚セットで、「聞くだけで英語が話せるようになる」と話題になった。

 昨年新しい形態でリスタートしたが、当時「どれだけ聞いても話せるようにならなかった」という声も耳にする。本当に聞き流すだけで英語は身に付くのか。聞くことと、語学の習得の関係について、東京大学の酒井邦嘉教授はこう話す。

「音を聞くことは語学の習得において非常に効果的です。ただし、同じものを繰り返し聞くということが重要です。覚えてしまうまで、同じものを繰り返し聞くこと。同じものを聞き続ければ、短期記憶が長期記憶に変わります」

 スピードラーニングでいうと、届いたCD教材を覚えるまで聞かないうちに、別のCDが届いたからもう次の教材へ、という使い方ではいつまでも英語は身に付かないということ。スピードラーニングだけでなく、英語のリスニング力がないうちに、背伸びして米CNNや英BBCといった海外ニュースを毎日聞き続けシャワーのように英語に触れていても、効果は薄いということだ。