行列もいとわないのは国民性の変化か?クオリティーの向上か?
上述のように、元々韓国人にとって「並んで待つ」ということは「お金を払って食べたり、買ったりするのに、どうして時間をかけて待たされなくてはいけないのか?」と考える行為だった。それが今では、「長時間待つことも構わない」という考え方が定着しつつあるのはなぜなのか。韓国では、こうした行動の中心となる世代がMZ世代(20~30歳代)であることから、「国民性が変化した」と指摘する声や、「物のクオリティーが高くなり、生活が豊かになったことの表れだ」という声が上がっている。
筆者としては、どちらの意見にも同感だ。現在ではスマホなど時間をつぶせるものがあるので待ち時間が以前より苦痛ではなくなったということに加え、MZ世代にとっては、待ち時間にSNSでライブ配信をしたり情報交換したりと「待つこと」もまた一つのネタとなっているからである。
では、それ以外の世代はどうだろう? 中高年世代やはり、以前と比べて待つことに抵抗が少なくなっているように思える。一昨年、韓国で大ブームとなったポケモンパンの販売では、「孫や子どものために」と店頭に朝早くから並ぶ中高年の姿も多く見られた(参考記事)。
これは、グルメ、ファッションなど多くの商品のクオリティーが10年、20年前と比較しても向上し、国民が商品に対して求めるレベルも上がり、「目や舌も肥えた」ということがあるといえる。また、現在は何かにつけてネットやSNSでの口コミの影響力も大きく、消費者も厳しい。だからこそ、「並んででも食べたり、手に入れられたりする物」への評価も高い半面、それに値しない物は飲食店でも生き残れないということである。