副都心線のもう一つの教訓
小竹向原駅の案内問題

 もう一つ、副都心線の教訓で思い起こされるのが小竹向原駅の案内問題だ。都心方で有楽町線と副都心線、郊外方面で西武線と東武線に分岐する拠点駅の小竹向原駅だが、乗りたい路線、方面、種別がいつ来るのかが分かりにくかったのだ。

 こうした指摘を受けて案内サインの表記変更、自動旅客案内装置(行き先と時刻を表示する電光掲示板)の改良など緊急対策を講じ、また乗客も慣れていったことで、問題は次第に沈静化した。

 しかし今回は副都心線の比ではない。新横浜線を中心に7社局14路線が関係する空前の相互直通運転である。相鉄と東急の関係に絞っても相鉄本線といずみ野線から新横浜駅を通じて東急東横線、目黒線がそれぞれX字形に乗り入れる。

 目黒線から先は南北線と都営三田線に分岐。加えて本線の横浜行き、羽沢横浜国大駅からJR線への直通運転も行われており、全てを足せば2系統から来た列車が、西谷駅から5系統に分かれることになる。

 2019年11月にJR線との相互直通運転が始まるまで、相鉄の上り列車は基本的に全て「横浜」行きだった。2019年に新宿、池袋、赤羽、大宮、川越、武蔵浦和行きが加わったが、新宿以外は朝ラッシュなど一部のみの設定で、また本数も1時間当たり2~4本と限定的だったため、「横浜以外」という理解で問題はなかった。

 ところが新横浜線の開業で、目黒線直通列車は武蔵小杉、奥沢、目黒、赤羽岩淵、浦和美園、高島平、西高島平の7駅、東横線直通列車は渋谷、新宿三丁目、池袋、和光市、志木、川越市、森林公園、小川町の8駅が追加され、新横浜行きと合わせて行き先が16駅増加したことになる。