大学内でのハラスメント
実態調査を求める署名も

 契約解除の発表があった3月28日に流れたニュースが、たとえばこちらである。

「ハラスメント被害で大学に安心できる場所がない」文科省に実態調査求め、学生らが署名2万3千筆提出」(2023年3月28日/HUFFPOST)

 署名を集めた学生団体の聞き取りでは「大学教員から不当な拘束時間や仕事量を課される」「異性の教員から身体を触られる」といった実態があるという。そこで、実態調査や対策、実態に沿った法律の制定などを求めるものである。
 
 ネット上で公開されている要望書には、日本の大学ではハラスメントの明確な対処基準が存在せず、問題の解決はもちろん、被害の可視化や現状把握も不十分であることに触れられている。

 また、ハラスメントの対応の中で二次加害があることや、対応にあたる教員が疲弊していることにも触れられている。明確な基準や、被害者を守り二次加害とならない対応が確立されていないために、現場の教員たちにも戸惑いがあるのだろう。

 昨年秋には、帝京大学の男子学生に対して、女子学生だと勘違いした教授が不適切な内容のメールを送り、それをとがめた学生との会話の録音がツイッター上で拡散したことが記憶に新しい。

 早稲田大学では、文学学術院の元教授や女性准教授が、それぞれ学生からハラスメント被害を訴えられて訴訟となっている。

 また、ハラスメント被害に遭った人が学内で相談しても納得のいかない対応に終わることも多い現状がある。そのため、SNS上での「告発」の方が、対応が可視化され迅速に行われると思われても仕方のない状況がある。