過去最高の受験者数と受験率を更新し続ける首都圏の中学受験。だが2023年入試ではコロナ禍が終息するに伴い、新たな動きが起きている。特集『わが子が伸びる中高一貫校&塾&小学校』(全29回)の#1では、史上空前の“中受”ブームに沸く首都圏の最新入試動向について、23年最大の話題、「芝国際ショック」と共に分析する。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)
過去最高の受験者数、受験率を続伸
ブームの負の象徴とされる入試トラブルも
過熱の一途をたどる首都圏の中学受験。直近2023年入試の受験者数は、私立中学と国立中学を合わせて5万2600人(首都圏模試センター)と、過去最多だった前年を上回った。22年入試で17.3%と史上初めて17%を突破した受験率17.86%と0.56ポイント上昇した。四谷大塚の推計でも、受験者数5万4700人、受験率18.6%は共に過去最高だ。
首都圏の23年入試について、「近年の首都圏における中学受験ブームは、難関私立大学付属校がリードしてきたが、23年入試では付属校人気が一服する一方で、難関校や上位校への回帰が起きた。コロナ禍が終息に向かい始め、隣県などからの越境入試組が戻ってきたため」と、森上教育研究所の森上展安代表は総括する。
また、SAPIX(サピックス)の広野雅明教育情報センター本部長は「男子では開成の応募者数が近年では最多となり、女子でも桜蔭の応募者数が大きく増加した。両校とも新校舎を建設中で、より充実した教育環境が整備されることへの期待感に加え、開成は海外大学進学などグローバル志向にかじを切り、桜蔭は制服でスラックスを選択可能にしたり、オンライン英会話を導入したりするなど、先進的な学校改革が人気の背景にある」という。
この難関校志向の変化について、「23年を象徴する例として、女子最難関の桜蔭では22年の補欠合格者27人中25人まで繰り上がったが、23年は同29人中ゼロ。受験者増に加え、歩留まり率も上がっている」と、四谷大塚の岩崎隆義情報本部本部長は明かす。
一方、全体的な受験者数の増加について「受験生の三極化が進んでいることも一つの要因」というのは、首都圏模試センターの北一成教育研究所長だ。
次ページでは、受験層の多極化の理由に加え、23年の出願数が22年の73人から64倍に爆増し、首都圏で2番目に多い出願数(延べ数)を集めながら入試後に“炎上”した“新星”芝国際の「偏差値合否分布図」を含め、志願者が爆増した学校を見る。