費用対効果を表す「コスパ(コストパフォーマンス)」に続いて、時間帯効果を表す「タイパ(タイムパフォーマンス)」が若い世代を中心に注目を集めている。実は、「経営の神様」と呼ばれた稲盛和夫氏も、世代こそだいぶ違うものの、タイパを重視していた。その真意を解説する。(イトモス研究所所長 小倉健一)
経営の神様・稲盛和夫氏も
「タイパ」を重視していた
タイムパフォーマンス、略して「タイパ」という言葉が注目を集めている。タイパは、物事にかける「時間」に対する効果の度合いを意味している。これまであまり耳慣れない言葉だったが、三省堂「今年の新語2022」大賞にも選定された。コストパフォーマンス(物事にかける「お金」に対する効果の度合い、コスパ)に連なる言葉だ。
生活や仕事におけるさまざまなシーンにおいて短縮できる時間を考えながら過ごそうとすることで、例えば、動画や映画を1.5倍速、2倍速で視聴したり、外食をせずにデリバリーを選んだりすることなどを指している。
それが面白いのかどうかは別にして、映画を倍速で見れば、同じ時間で2本の映画を観賞できることになる。理解が進むかどうかは別にして、大学の講義なども、対面での出席はせずに後から1.5倍速で聴いた方が、速く済ませることができるだろう。
オンライン化が進んだことで就活生は、わざわざ相手の元へ出かけなくても、会社説明会を1日に何軒もはしごできるようになった。対面型の会社説明会と違って移動する時間がほぼなくなったわけで、これは「タイパ」の好例といえる。
タイパといえば、特に若い世代が重視しているという伝えられ方をすることが多いが、実は「経営の神様」と呼ばれた稲盛和夫氏も、世代はだいぶ違うが、とても重視していた。稲盛経営の中では、従業員一人一人がタイパを意識することを求められるのだ。その真髄について解説しよう。