抗議の声はクレーマーなのか

 声優のファンたちは「面白いうそであったとしか思わない」「なーんも悪くないよ」といったリプライを送り、抗議の声を「クレーマー」扱いするコメントもある。

 目に映る文脈、見ている世界が違いすぎる人々がSNS上で出会うがゆえに起こってしまう「炎上」ではあるが、さすがに昨今の状況を鑑みて、知名度の多い著名人はもう少し社会問題に関心を払ってほしいと思わざるを得ない。

 逆に言えば、人気のあるアーティストが価値観をアップデートし発信していくことで、そのファンたちに今ある問題を伝えることにもなる。

「ひろゆき」こと西村博之氏はこの件に関してツイッターで、「LGBTでも障害者でも『弄ってはいけない』という雰囲気が出来る事で、何かあったら面倒だから呼ぶのをやめよう、、となったりします」という指摘を行い、いつも通り賛同を集めている。

 いじる側ではなくいじられる側を「面倒だから呼ぶのをやめよう」とする企業の肩を持ち、代弁しているのである。

 このような言説が支持を集める社会の中では声を上げることは無駄に思えるかもしれない。しかし、「面倒だから呼ぶのをやめよう」となるような社会は未熟であり、望まれる社会ではないという指摘を愚直に繰り返していくことも必要だろう。