生産性自体に仕事の価値はない
創造性こそが価値を生む

 企業活動の目的は収益の最大化です。企業活動では、収益を最大化するための、例えば利益率や売上高、成約率などをKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)として追求していくことになります。

 この収益を上げるためには何が必要かを細分化していくことで、成果指標の構成、「KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)ツリー」ができあがります。KPIツリーは、目標を達成する条件となる「先行指標」と達成される目標である「遅行指標」の連鎖で成り立ちます。最終ゴールであるKGIは究極の遅行指標であり、何らかの成果の結果として向上していくものといえます。

 売上高をKGIとしたとき、この売上高という遅行指標を実現するためには「プロダクト力を上げる」「営業力を上げる」といった先行指標が考えられます。次にプロダクト力を上げるためには、プロダクトの品質改善や機能の豊富さなどの先行指標があり、その次には……といった具合に分解されていきます。営業力の向上であれば、その先行指標として営業成約数があり、その先行指標には新規顧客開拓率があり……といった具合です。

 それぞれの先行指標はアウトプットで遅行指標はアウトカムの関係にあります。仕事の価値とは最終的には売り上げや利益だったとしても、細分化したときにもやはり「何かタスクをやりました」ということではなく、そのタスクによって何が得られたか、どんな価値を遅行指標に対して提供できたかというふうに考えていくべきだと思います。

 昔は、アウトカムとアウトプットにそれほど違いがない時代が長く続いていました。例えばボタンを押すだけの仕事で、ボタンが押された数がアウトカムになるならば、アウトカム=アウトプットとなります。アウトカムを最大化させたければ、ボタンを押すスピードを速くし、押す人を大量に配置すれば良いということになります。