マスク着用により生じる犠牲や損失

 Shenoy氏らは、感染を制限する他の戦略とともに実施されたマスクの着用は、公衆衛生ガイドラインや医療疫学の専門家により支持されており、パンデミック初期のCOVID-19に関する限られた知識と予防・治療選択肢の欠如を考えると、適切な対応であったと述べている。

 しかし、COVID-19の負担が次第に軽減されるに伴い、多くの感染予防対策も実施されなくなったにもかかわらず、医療現場の多くでは、マスク着用も含めた感染予防対策が変わらず講じられている。著者らは、マスク着用の維持は、患者と医療従事者間での感染リスクを低下させ得るという点ではわずかなベネフィットがあることを認めている。しかし、そのベネフィットは、マスク着用により生じる犠牲や損失と比較検討されるべきだと主張する。

 例えば、マスク着用は、コミュニケーションの妨げとなる。特に、英語を母語としない患者や、聴覚障害があり読唇やその他の非言語シグナルに頼ってコミュニケーションを取る必要がある患者への影響は大きい。また、マスクを着用しての会話では、聞く側にいっそうの努力が必要になるため、認知機能にかかる負荷も増加する。さらに、マスクを着用していると、表情が分かりづらくなったり、孤立感の増長につながったり、人同士のつながりや信頼、共感の認識に悪影響を及ぼす可能性があると述べている。

 こうしたことを踏まえて著者らは、「2019年に新型コロナウイルスが最初に確認されて以来、その予防と管理において、われわれは大きな進歩を遂げた。われわれは今や、その成果を認識し、これまで講じてきた方針を継続しても得られるベネフィットが少ないと予想される場合には、その実施を撤回するべき時期にきている」と述べている。(HealthDay News 2023年4月17日)

https://consumer.healthday.com/universal-masking-in-health-care-no-longer-seems-appropriate-2659866994.html

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