「コロナが5類になると、医療費負担で破産する」――。政府が新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類を5月から季節性インフルエンザと同様の「5類感染症」にすると発表した直後、SNSでこのような言説が飛び交った。特集『選ばれるクスリ』(全36回)の#6では、薬剤・医療経済の専門家である横浜市立大学の五十嵐中准教授がコロナ治療費の全貌を明かす。(ダイヤモンド編集部 野村聖子)
「5類になると医療費負担で破産する」
懸念のツイートが相次ぐ
新型コロナウイルス感染症は現在、感染症法上の分類で「新型インフルエンザ等感染症」に位置付けられている。政府はこれを5月から変更し、季節性インフルエンザと同様の「5類感染症」にすると発表した。
政府が「5類」移行方針を明かした直後、SNSのツイッターで、東京都議会議員のおじま紘平氏が「5類移行に伴い、医療費・ワクチンの公費負担が廃止・縮小される」という主旨のツイートをした。これが拡散されると、「5類になってコロナに感染したら、高額な治療費が自己負担となり破産するのではないか」と懸念する投稿が相次いだ。
この懸念は現実のものとなるのか。そもそもコロナ感染の治療費は幾らなのか。
コロナ治療費はこれまで全額公費で負担されており、患者自身も一体幾らかかっているのかを把握しづらい。このため実際には、1人当たりどの程度の医療費がかかっているのかは明確でなかった。
そこで、薬剤経済を専門とする横浜市立大学の五十嵐中准教授は、組合管掌健康保険のデータを基に、パンデミック(世界的大流行)開始直後の2020年2月から22年9月までの1人当たりの医療費を明らかにした。