お寺は全国に約7万7000カ所あります。一方でお正月には神社へ初詣に行く人が多く、仏様だけでなく神様にも頼ってしまうのが日本人の特徴といえそうです。日本には八百万の神々がいるとされます。「八百万」の意味は数値としての800万ではなく、「たくさんの」状態を指します。神社は全国に約8万1000社あります。「8」という数字が重なるのは不思議な偶然ですね。

 クリスマスに、キリスト教の教会のミサに参加した人もいるかもしれません。キリスト教系の宗教団体の教会は全国に7000ほどです。お寺や神社に比べると、明らかに少ないですね。

 日本にキリスト教を伝えたフランシスコ・ザビエルが来日したのは1549年、室町幕府13代将軍足利義輝の時代です。6世紀には伝来した仏教、その仏教よりもさらに古い時代から続く神道と比べると、日本での歴史の短さは歴然としています。

 明治時代に誕生した新宗教、その後の新新宗教などの宗教団体の歴史はさらに浅いといえます。文部科学省の調査で「神道系、仏教系、キリスト教系のいずれにも特定し得ない教団」は「諸教」に分類されます。諸教に含まれる教団は、天理教、金光教、PL教、生長の家などいわゆる新宗教の教団が多いです。この諸教の教会施設の数は1万7000近くにおよびます。キリスト教系の教会より多いのです。

 さて、お寺と神社では、その施設の数では神社の方が勝るという結果が出ました。お寺も神社も、人口減少時代を迎えて後継者不足、檀家や氏子の数の減少といった共通の悩みをもっています。仏教にせよ神道にせよ、自分の心の拠り所となる信仰は、大切にしたいものですね。

 日本人は外国人と比べて「信仰心が薄い」というレッテルを貼られがちです。

 しかし、これだけ多彩な宗教施設が数多く国内に存在しているわけですから、人智を超えた存在への敬虔な気持ちは、日本人の中にしっかり息づいているといえそうです。