石油・ガス会社は近年でほとんど例のないほど大量の現金を蓄えている。ウォール街にはその使い道についていくつかのアイデアがあるが、新規の掘削は選択肢の上位には見当たらない。多くの企業はコスト削減を行い、米投資会社バークシャー・ハザウェイのウォーレン・バフェット氏のような石油株投資家に現金をばらまいている。同氏のような投資家は石油への渇望が世界的に今後数十年とは言わないまでも、何年も続くと信じている。昨年はロシアのウクライナ侵攻で商品価格が高騰したのを受け、エネルギー株は株主還元が期待できることから、市場が暗転している中でも数少ない明るい投資先となった。今年は経済の先行き不透明感が原油価格を圧迫し、エネルギー部門はS&P500種の中で最悪のパフォーマンスを記録しているものの、現金は引き続き潤沢だ。以前は成長を追い求め、投機的な掘削投資に資金を投じて株価を下げていた企業が、配当の増額や自社株買いによってウォール街の機嫌をとろうとしている。
欧米石油大手の現金21兆円、投資家呼び込む
各社は株主還元を強化しているほか、原油価格の下落に備えてキャッシュを保有
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