よく謝る人ほど
償わない

 それはある仕事でこじれて、大事になりそうだった際の経験です。その状況を見ていた経営者から、「自分の言い分を全部のみこんで、とにかくひたすら謝りなさい」と命令に近いアドバイスをもらいました。

 話がこじれるとその経営者に一番迷惑がかかる案件で、わたしにはわたしの言い分が山ほどあったのですが、命令に従う形で私は深く頭を下げました。

 それで相手も気持ちが収まったのでしょう。最終的にその経営者の仲裁でトラブルは収束しました。そのときに経営者から言われたことが、「鈴木さん、頭を下げるのはタダですむんだよ。あのような話でこじれてお金を出すのはもったいない。気が晴れなければあとで舌でも出しておけばいいんだ」

 そこでわかったのですが、よく謝る人は償わないのです。

償わない謝罪と
償う謝罪は重みが違う

 企業の謝罪会見を長年観察していると、経営者が何に謝っているのかがわかるようになります。

「世間をお騒がせして」
「関係者の皆様にご心配をかけて」

 といった具合に頭を下げます。今回、ジュリー社長は被害者にも謝罪していますが、多くのケースでは被害者への謝罪すら避ける傾向にあります。

「詳細については調査中であり」
「第三者委員会の見解に影響を与えるといけないので」
「訴状が届いていないため」

 という形で、世間に謝罪をする形で、被害者への謝罪や償いとは切り分けた記者会見を行うテクニックが一般化しています。