才能のある人にとっては、たたき台のレベルは高ければ高いほうがいい。結果としてAIがクリエイティブ能力を身につけるほど、人類の能力は際限なく拡張していくでしょう。完全にAIが独立して意思決定したり、クリエイションしたりする時代が来たとしても、より広いダイバーシティを持つAIとすぐれた人類がタッグを組んだときのほうが、より良い意思決定やクリエイションになることのほうが多いはずです。

 ぼくは、AIが得意な「作業」はAIに任せて、いかにして人類が「仕事」に専念できるかを考えたい(ここで言う仕事とは、目標を達成するための手続きが規定されている「作業」ではなく、なにを考えるかを決め、仮説を構築し、問題を分解し、試行し、やり切るということです)。

 だからこそ、ロボットコーチが必要だと思うのです。そうして育った「挑戦できる人類」が、模範的な傾向を持つAIと組むことで、いよいよ役割分担がはっきりしていきます。わたしができないところはあなたが担い、あなたができないところはわたしが担う。そんな関係性のなかで、人類はさらに新しいことを学び、喜び、さらなる未開の地を切り拓いていけるようになるはずです。

 ダイバーシティ&インクルージョン(多様性の受用と活用)は現在、マイノリティを受容して、その強みを活かすことから始まっているわけですが、それはいまから起こるAIやロボットと人類の協業の前段階にあるようにも思います。すべての各個人が「個性を持つマイノリティ」として細分化していき、その受容と強みを活かすために、AIやロボットが活用される時代が来ます。

 大丈夫です。

 人類はもっと、自由になります。

世界の生産性は
また爆上がりする

 AIが帰納的学習のために多くの情報を必要とするのに対して、人類は遥かに少ない情報から、なにを考えるべきかを決め、仮説をつくることができます。そして探索と試行を繰り返し、驚くべき柔軟性で新しい環境に対応できます。

 これこそが人類のすばらしさです。

「成長できる」という高揚感は、またぼくらを新しい変化に挑戦させます。

 全世界の人類が、ロボット・ライフ・コーチとともに自分のポテンシャルを信じて成長し続けることができたなら。

 世界に何十億人といる人類のWell-Beingが上がり、争いが減り、やる気が増え、結果的に生産性も向上するでしょう。それこそ「Well-Being革命」と「生産性革命」が同時に起こることになります。