ニュースで見聞きした国、W杯やオリンピックの出場国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。そういった中で「世界の国々をざっと理解できる」「聞いたことない国でもイメージできる」と支持されている本がある。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)だ。
本書は世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋して世界の国を紹介する。
フランスってどんな国?
フランスは、ヨーロッパ大陸の西部を占め、大西洋と地中海に挟まれているフランス本土と、ナポレオンの故郷であるコルシカ島など数多くの島から成る国です。
フランス本土は、ベルギー、ドイツ、スイス、イタリア、スペインなど8ヵ国と国境を接します。
本土の北部や西部は平地で、土壌は肥沃です。イタリアやスイスとの国境地帯にはアルプス山脈とジュラ山脈、スペインとの国境にはピレネー山脈があり、北東を除き山と海に囲まれています。
現在のフランスは紀元前にはガリアと呼ばれ、ケルト人が住んでいました。前1世紀半ばにカエサル(シーザー)に率いられたローマ軍に征服されました。
4世紀からはさまざまなゲルマン系民族が移動し、そのなかのフランク族が定着するようになり、フランスという呼び名はこのフランク族に由来します。
17世紀にベルサイユ宮殿を造ったルイ14世が絶対王政を確立しますが、1789年7月14日(この日は現在革命記念日・パリ祭)のバスティーユ占領がその始まりとなってフランス革命が起こり、民主化が実現しました。
西ヨーロッパ最大の農業国
フランスは、西ヨーロッパ最大の農業国で、主要食料のほとんどを自給自足できるうえ、穀物や世界第2位(2018年)のワイン・牛乳などをEU諸国に輸出しています。
工業は自動車・化学・機械・食品・繊維などだけでなく、宇宙・航空機産業が発達しています。また、発電量に占める原子力の割合が高く、69.9%(2019年)です。
フランスの主要都市からベルギー、ルクセンブルク、スイス、スペイン、イタリアに向けて、高速列車TGVが時速320kmで走り、ビジネスや観光に欠かせないものになっています。
世界に誇る文化と伝統
歴史と芸術の都パリは、19世紀ナポレオン3世とオスマン知事によって大改造されました。
「モナリザ」で知られるルーブルなどの有名な美術館も多く、また小島にそびえる修道院モン・サン・ミッシェルをはじめとした有名な観光地も国内各地に抱え、観光収入は大きく観光客数は世界一(2019年)です。
クロワッサンなどのペストリーや、エクレアやマカロンなどの菓子が世界的に有名です。トルコ、中国と並んで世界三大料理の一つといわれるフランス料理やワインに加え、地方名産のさまざまなチーズも世界中で愛されています。
また、パリには有名なファッションブランドが数多くあり、1910年に創業したシャネルもその一つです。
近年は多数のテロが発生
外交は、欧州統合を積極的に推進しています。フランスの独自性を追求するとともに仏独関係を重視し、アメリカとは協力関係を維持しています。
伝統的に関係が深い中東・北アフリカ地域にも積極的に関与していますが、移民の過半数が貧困や社会的に排除された状態にあることを背景に、近年はヨーロッパで最多のテロ発生国となっています。
フランス共和国
面積:64.4万km2
首都:パリ
人口:6852.2万
通貨:ユーロ
言語:フランス語(公用語)、プロヴァンス語、ブリトン語
宗教:キリスト教(カトリックが大多数)63-66%
隣接:ベルギー、ルクセンブルク、ドイツ、スイス、イタリア、モナコ、アンドラ、スペイン
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2023年7月4日時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)