ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から特別に一部を抜粋して紹介する。

「ルクセンブルクってどんな国?」2分で学ぶ国際社会Photo: Adobe Stock

ルクセンブルクってどんな国?

 ルクセンブルクは、ベルギー・フランス・ドイツに囲まれた西ヨーロッパの小さな内陸国で、森林と渓谷の美しい国としても知られています。

 この国の由来は、神聖ローマ帝国の一部として、963年にアルデンヌ家のジークフロイト伯が一帯を支配して建設したルシリンブルク(=小さな城)にあります。地理的にヨーロッパの十字路にあることから、スペイン、フランス、オーストリアなどの大国の支配を受けながら、戦略的要塞都市として発展しました。

 1839年に西部をベルギーに割譲し、ほぼ現ルクセンブルク領が形成されました。城壁で囲まれた首都の旧市街地は世界遺産に登録されています。1890年にオランダとの同君連合を解消して立憲君主制になりました。

 1945年に国連加盟、1948年にオランダベルギーとともにベネルクス関税同盟を結成し、1960年には経済同盟に発展させました。1949年に永世中立を放棄し、NATOに加盟。1957年にEEC(現EU)に加盟しました。

一人当たりGDPが世界トップの裕福な国

 1970年代から金融・保険業が成長し、欧州有数の金融センターに変貌しました。一人当たりGDPが世界トップの裕福な国です。

 近年はIT企業の誘致に注力し、スカイプはエストニアからルクセンブルクに本社機能を移転。日本のファナック、楽天も欧州本社を置いています。典型的な福祉国家ではないものの、失業率が低く、所得格差が北欧諸国並みに小さいです。

「ルクセンブルクってどんな国?」2分で学ぶ国際社会

ルクセンブルク大公国

面積:2586km2 首都:ルクセンブルク
人口:64.0万 通貨:ユーロ
言語:ルクセンブルク語(公用語)、フランス語(公用語)、ドイツ語(公用語)
宗教:キリスト教(大多数がカトリック)70.4%
隣接:ベルギー、フランス、ドイツ

(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)