近年、若者のみならず、ミドル世代の間でも農業への関心が高まっているという。農業は新たな稼ぎ口や生き方として選択肢に入ってくるからである。そこでミドル世代が農業を始める方法やそのメリットなどについて、全国新規就農相談センター所長の堀江光正氏に聞いた。(清談社 沼澤典史)
全8回開催で6000人以上が訪れた
就農希望者向けイベント
日本の食料自給率はカロリーベースで38%と先進国では最低の水準であり、長期的に低下傾向だ。さらに、基幹的農業従事者(仕事として主に自営農業に従事している者)は、2022年は約122万人で、2010年に比べ約80万人も減少している。
しかし、就農に関する相談を受けている全国新規就農相談センターには以前にも増して多くの相談が寄せられており、農業への関心は確実に高まっていると堀江氏はいう。
「当センターへの一昨年度(2021年度)の相談件数は、2265件。相談員によると対面、オンラインなども含めて就農相談の希望者が徐々に多くなっているということです。その大半はサラリーマン。特にコロナ禍を経て、会社員としての生活や生き方などに不安を覚え、農業を始めたいという人が少なくありません。また、昨年から今年にかけ、東京や大阪で行われた就農希望者向けのイベント『新・農業人フェア』(全8回開催)でも男性女性、家族連れなど約6200人が訪れ、例年の1.5倍の来場者となる回もありました。」
このように確実に農業への関心は高まっている。ただ、実際に始めようとしてもなにから手をつけ、どのような行程になるかわからない人が大半だろう。堀江氏に、農業を始めるまでのステップを紹介してもらった。