要因その2:
迷惑行為の動機に合わせた対処がされていない

 迷惑動画・写真の投稿が繰り返される要因の二つ目として、“迷惑動画”とひとまとめにしてしまい、迷惑行為・撮影・投稿をした動機に合わせた対処や抑止方法の議論がされていないことが挙げられる。

【迷惑動画・写真を投稿してしまう動機の例】
●仲間内の悪ノリで迷惑行為と撮影を行い、仲間内だけで共有するつもりで投稿をした
●同調圧力や強要により、イジリやイジメの一環として迷惑行為をさせられ、意に反して撮影・投稿をされた
●バズりたいという承認欲求や動画の収益化目当てで故意に炎上するような迷惑行為をして、撮影・投稿をした
●流行りのダンスをTikTokで上げるようなノリで、話題になった迷惑動画を模倣して迷惑行為・撮影・投稿をした

 上記のように、迷惑動画・写真の投稿に至る起点は1つではない。そして、動機・起点によって対処法は異なるのだ。

 例えば、仲間内の悪ノリでこうした行為が行われる場合。鍵付きのアカウントや、24時間で消えるインスタグラムのストーリーズなら他の人にはバレないだろうと投稿しても、誰かがスクショなどを保存していれば拡散・炎上は容易に起こる。こうした危険性を周知する必要があるだろう。

「SNSに投稿した以上、公開するつもりではなくても拡散のリスクがある」という注意喚起は、上記のような人たちには必要だが、炎上商法が目的の投稿者には響かない。逆に、「迷惑系YouTuberが逮捕された。迷惑動画や写真の投稿は代償が大きいので、やめておこう」と注意喚起をしても、仲間内の悪ノリでSNSに投稿する者には響かないのだ。

 ところが実際には“迷惑動画”として一律に語られているため、結果として注意喚起が中途半端になり、迷惑動画・写真の投稿が繰り返されてしまうのである。