飲酒は? 喫煙は? 肥満は? ストレスは?
本当に脳に悪いこと、いいことは何だろう?

脳の若返りと認知症治療の専門医・白澤卓二医師は『長寿脳──120歳まで健康に生きる方法』で、現代人の願いである健康長寿を脳から実現するノウハウを提案する。認知症にならずに体も長持ちさせるためには、40代からの脳のケアが大切だと著者はいう。本書では世界最新の医学で明らかになった認知症予防・改善策と、その研究からわかった脳のパフォーマンスを上げるために必要な生活習慣とは?

足りていますか? 病気予防効果の高い栄養素とはPhoto: Adobe Stock

さまざまな病気が予防できるビタミンDが、
日本人は圧倒的に不足しているらしい

 海外の研究データなどを見ると、日本人のビタミンDの摂取量が圧倒的に不足していると考えられます。脳の働きをよくするには、脳内で神経細胞が互いに情報をやり取りするつなぎ目である「シナプス」を強化するビタミンDが非常に重要です。脳のシナプスの活動が鈍れば思考や記憶が低下するのはもちろん、体のコントロールセンターとしての脳の働きも低下します。

 ビタミンDを必要としているのは脳だけではありません。

 カルシウムとともに骨を強化して骨粗しょう症を防ぎます。とくに女性ホルモンが減った閉経後に骨粗しょう症になりやすい女性では、よくよく注意が必要です。転んで太もものつけ根を骨折すると、それをきっかけに寝たきりになり、認知症になることが多いからです。

 さらに、ビタミンDが足りていないと心筋梗塞、高血圧、結核、インフルエンザ、大腸がん、多発性硬化症、腎臓がん、すい臓がんになるリスクが高まります。血中のビタミンDの濃度が80ng/ml程度あるとビタミンDの影響を受ける病気のリスクが20%程度まで下がるのですが、日本人では10ng/ml程度の人が多いのです。認知症についてはビタミンDの血中濃度が30ng/ml未満では80%以上の発症リスクがありますが、80ng/mlまで上げると発症リスクが20~30%まで下がることがわかっています。

食べるなら、紅鮭、サーモンが最強

 食べものからビタミンDをとる場合は、コツコツ食べ続けることが肝心です。食べ続ければ脂肪に貯めておけます。ビタミンDを多く含む食べ物で、もっともポピュラーなのは紅鮭、サーモンです。ほかにもにしん、あんこうの肝、かじき、かわはぎ、いわし、さんま、うなぎなどの魚介類に含まれています。私も朝食でサーモンやさばなどを食べていますが、それでも1食でとれるビタミンDはせいぜい30ng/mlほどです。

 厚生労働省の基準ではそれでも十分ですが、体内のビタミンDが枯渇している人が先ほど挙げた病気のリスクを下げるには、サプリメントでビタミンD3を補給するのがベターでしょう。ビタミンDの病気予防効果の威力を考えると、日本国民にビタミンD3のサプリメントを配ったら、病院が干上がってしまうんじゃないかと、私は本気で思っています。

本原稿は、白澤卓二著『長寿脳──120歳まで健康に生きる方法』からの抜粋です。この本では、科学的に脳を若返らせ、寿命を延ばすことを目指す方法を紹介しています。(次回へ続く)