ビジネスの現場では、人前でハキハキと話せる「社交的な人」が有利だと思われがちです。しかし、台湾出身で、超内向型でありながら超外向型社会アメリカで成功を収めたジル・チャン氏の世界的ベストセラー『「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』(神崎朗子訳)によると、「内向的な人」こそ、冷静さ・思慮深さ・協調性といったビジネススキルを兼ね備えているといいます。
内向型の生まれ持った強みを肯定し、勇気づける本書には、「目からウロコの内容に感動した」「自分らしく生きていけばいいと気づけた」と日本中から絶賛の声が集まっています。
今回は、読者から寄せられた仕事や人間関係の質問に対する、チャン氏の回答を公開します。(構成/根本隼)
現場で役立つ「実用性」を重視した
読者からの質問 どうして「内向型」の人のための本を書いたのですか?
ジル・チャン氏 この本を執筆しようとしていた時期は、内向型として苦労の多かったタイミングでした。
なので、まず、当時の私が抱えていた問題を解決してくれる本を探して、30冊ぐらい読んでみました。
この読書体験で多くのことを学び、いろいろな理論を覚えたのですが、なかなか実際の場面で活用できる知恵は見つかりませんでした。
そこで、『「静かな人」の戦略書』では、できるだけ現実に即した実用的なビジネススキルを紹介することを強く意識しました。私が苦労して学んだことを、皆さんにも仕事場で役立ててほしかったからです。
なので、本書に載っているのは、会議や電話応対、あるいは上司とのコミュニケーションですぐにでも利用できる仕事術ばかりです。理論を暗記したり、モデルを覚えたりする必要はありません。
本の内容を鵜呑みにすると「自信」を失いかねない
ジル・チャン氏 「内向型」をテーマにした本でおすすめなのは、スーザン・ケインさんの『内向型人間のすごい力』です。
「内向型」の強みや魅力を解き明かしたこの本は、まさしく私の人生を変えた一作です。これを読んで、生まれてはじめて「内向型も悪くない」と思えました。内向型の性質を深掘りして分析した本なので、自分のパーソナリティーを理解する上で役立つと思います。
ひとつ注意してほしいのは、どんな本を読むにしても、書いてある内容を鵜呑みにするのは危険だということです。
本に載っているビジネススキルが、自分に合うとは限りません。よくあるのは、本で紹介されている仕事術を試してうまくいかなかったときに、「自分が悪いのかな」「能力が足りないのかな」と自信を失ってしまうパターンです。
自分と相性の悪い仕事術を無理に試し続ける必要はありません。自分が劣っているのではなく、「合わなかっただけ」です。自分の性格や仕事の内容にフィットしそうなものを粘り強く探してみてください。