利益がなくても配当できる!?

 ただし、現行法では分配可能額に資本剰余金の一部が含まれています。資本剰余金は資本金に準ずるものです。つまり、株主から拠出された一部です。

 それを分配可能額に含めていいという現行法の規定は、親からの仕送りを親に返すことをもって親への仕送りとしてもいいと言っているわけで、極めて非論理的です。

 では、なぜそういう規定になっているかと言うと、利益が出ていない会社でも配当を可能にするためということのようです。制度というのは、時として、合理性を無視して完全に政策的理由だけでつくられるものだということです。

 ただし、論理的には本来はおかしいということは理解しておいたほうがいいでしょう。実務上は、資本剰余金から配当するケースはほとんど見られません。

 なお、分配可能額というのは、あくまでも数字上の制限値です。配当するのに十分な手元資金が会社にあるかどうかとは全く別の話です。

 分配可能額の範囲で配当することが決まっても、十分な手元資金がないことはよくあります。そういう場合は、銀行から借り入れをして配当をするということも珍しくありません。