「賃上げ」が今年の春闘の話題となる中、年収を上げる早道の一つは出世だ。そもそも、日本には何人の部長・課長がいるのか。部長・課長の待遇はどうなっているのか。特集『部長・課長の残酷 給料・出世・役職定年』の#19では、会社員のヒエラルキーと給料の格差の全貌に迫る。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)
「日本の部長の年収はタイよりも低い」
経産省の衝撃報告書よりも低い本当の実額
「日本企業の部長の年収は、タイよりも低い」──。
そんな衝撃的な言葉が記されているのは、経済産業省が2022年5月に公表した報告書「未来人材ビジョン」だ。
報告書によれば、米国やシンガポールの部長の年収は約3000万円、タイは約2000万円に対し、日本の部長は1700万円程度にとどまる。さらに、日本は海外と比べて課長や部長に昇進する年齢も遅いとも指摘し、「雇用・人材育成システムの聖域なき見直しが求められている」などと報告書は提言している。
ただし、経産省が報告書で示した部長の年収は、海外の調査会社のデータを参照したものだ。調査に協力した日本企業は、グローバル展開を進め、海外の給与相場に関心が高い大企業が中心である。
実際の日本企業の部長の年収は、もっと低い。部長と課長の本当の年収は、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査(21年)」から導き出すことができる。
次ページでは、部長・課長と平社員の年収格差や出世事情について、企業全体と大企業についてお届けする。