日本企業の体質がわかる配当性向

 利益に対する配当の程度を測る指標として「配当性向」があります。

【配当性向 = 年間配当額/当期純利益 × 100(%)】

 これは、当期純利益のうち、どれくらいを配当に回したかという指標です。100%なら、その期の当期純利益の全額を配当に回したことになり、0%ならば無配ということになります。

 たとえば、【図表】は日米欧の配当性向です。

 この図表を見ると、日本の配当性向の平均は約30%で、欧米に比べて低いことがわかります。この事実だけで言えば、「欧米は日本よりも株主に対して積極的に配当を行っている」と言いたくなりますが、それは必ずしも正しくありません。

 確かに、平均は欧米のほうが日本よりも高いのは事実ですが、それ以外にも重要な差異があります。それは、ばらつきについても欧米は日本よりも大きいことです。欧米に比べると、日本は平均に集中しています。

 このことからまず言えることは、日本企業の横並び体質です。日本企業は、「配当性向30%」と言われると、「じゃあ、ウチも配当性向30%を目安に配当しよう」という行動パターンになりがちです。

 欧米のばらつきが大きいのは、各企業が方針として自分たちで考え独自に決めているということの表れでしょう。

 欧米はばらつきが大きいだけではなく、一番左側に属す企業がそれなりの数あるのも特徴的です。この中には無配の企業も相当数存在していると思われます。