大統領室の幹部は
「何が事実と異なるのか説明を」と要求

 これに対し、大統領室の幹部は、「尹大統領の発言の中で、何が事実と異なり、また自分たちがいかなる勢力なのかを先に説明すべきだ」と反論した。さらに同幹部は、北朝鮮が核・ミサイルを高度化させている中で、「反国家勢力は各国を回って北朝鮮に対する制裁解除を求め泣訴している、これは明確な事実だ」「終戦宣言は、北朝鮮の核廃棄を前提に南北相互の信頼が構築されてから到来する結果である」と発言。

 それにもかかわらず、「(文政権が)終戦宣言を急いだ理由は何だろうか」「国連軍司令部が終戦宣言により解体されれば、北朝鮮が南侵したときに、国連は自動的な介入ができなくなる」と民主党の姿勢を批判した。

 文在寅政権は国連軍が撤退すれば、平和が訪れると考えていたかもしれないがそれは幻想である。

 政権与党「国民の力」と民主党の対立は、「国家論」の本質を問う論争に発展してきた。これまで政府与党の攻撃の対象は、文在寅政権が北朝鮮の核・ミサイル高度化や人権無視に対して適切な対応を取らなかったこと、労働組合や市民団体と北朝鮮とのつながりや金銭を巡る不正行為があったこと、民主党議員の不正行為などが対象であった。

 しかし、今般の尹錫悦大統領の発言で、国家体制論に基づく対立であることが顕在化し、民主党の反国家行為を問うようになってきた。こうなれば、政府与党と民主党の決定的な対立に発展し、共に協力して国内政治を行うことは不可能になるだろう。

 前述の尹錫悦大統領による「北朝鮮に従う主体思想派は進歩でも左派でもない。敵対的反国家勢力との協治は不可能だ」との発言が、いよいよ韓国の国内政治に起きようとしている。