受信料の徴収方法変更で
公営放送のKBSに圧力

 一方で、尹錫悦政権も一部メディアとの対立を本格化している。

 韓国放送通信委員会は6月27日、公営放送であるKBSの受信料を電気料金と分離して徴収することを盛り込んだ放送法施行令改正案の告示手続きを終えた。大統領室は国民の9割以上が現行の受信料徴収方法の変更に賛成しているという調査結果を基に、徴収の分離を推進した。

 現在の受信料は月2500ウォン(約280円)であり、KBSの受信料収入は年間6274億ウォン(約690億円)で同社の収入の45%を占める。電気料金と一括した徴収方式としたのは支払わない人が多かったためである。徴収の分離が進めば、未払い者やコスト増分などが減収となり、受信料収入は1000億ウォン(約110億円)台にまで減少すると見込んでいる。

 受信料徴収方式の見直しの背景には、文在寅政権の意向に大きく左右されている同社の報道内容に対する不信があるといわれている。朝鮮日報は、大統領室の姜升圭(カン・スンギュ)市民社会首席秘書官の「国民参加討論の過程で放送の公正性・コンテンツ競争力・放漫経営などの問題が指摘され、受信料廃止という意見が提起された」とする説明を報じている。

 KBSの金儀チョル(キム・ウィチョル)社長は、受信料徴収の分離方式を撤回するならば、辞任に応じると会見で述べたが、政府は「受信料の徴収方式と社長の辞任は別問題である」として、これを受け入れなかった。

放送通信委員長を
免職処分に

 尹錫悦政権は5月30日、放送通信委員長によるテレビ朝鮮の再認可審査で意図的に評点を低く改ざんした問題に関与したとして起訴された韓相赫(ハン・サンヒョク)委員長に対する免職処分を決済した。後任には李東官(イ・ドングァン)元大統領府広報首席秘書官が有力視されている。韓委員長は文在寅政権により任命され、任期は7月末までであった。

 韓委員長は2020年3月、テレビ朝鮮に対する反対活動をしてきた市民団体関係者を審査委員に選任し、同年4月テレビ朝鮮の評点が捜査された事実を知りながら黙認したとして、同年5月2日に在宅起訴されていた。