メディアとの対立は
国家観論争の前哨戦

さまよえる韓国人『さまよえる韓国人』(WAC)
政権交代後も『さまよえる韓国人』は続くと解説した話題本。発売中

 尹錫悦政権がメディアへの対応を本格化させたことで、文在寅政権の息のかかっていたメディアとの対立は本格化するだろう。それは尹錫悦政権が進めようとしている民主党との「反国家観」論争の前哨戦のように思われる。尹錫悦政権としては今後の民主党との対立に当たって、メディアには公平な報道を求め、偏向報道を認めない姿勢を示したものであろう。

 現在韓国の民主党は、福島第一原発の処理水放出の問題でデマ政治を繰り広げ、政府との対立を深めている。その前は歴史問題であった。また、米中対立の中で、尹錫悦政権は米国寄りの姿勢を鮮明にし、中国を国内政治に引き込もうとする民主党と対立している。

「反国家観」を巡る論争で、政府与党が勝つか、民主党が勝つかで、今後の日韓関係は大きく左右されるだろう。日本はこの対立を傍観してはいられないだろう。日韓関係の進展が韓国にとってメリットがあることを韓国国民が納得することが重要である。

(元駐韓国特命全権大使 武藤正敏)