「信用スコア」が信頼度の高い情報とフェアな取引を担保

 タオバオライブがここまでユーザーの支持を集めているのには、もうひとつ理由があります。それは、グループ内の決済アプリを通じた「信用スコア」です。信用スコアについて、ここで簡単にお話しします。

 アリババグループには「アリペイ」という決済アプリがあり、中国のモバイル決済市場において約6割のシェアを占めています。そのアリペイが個人の属性データから購買履歴、税金や公共料金の支払い履歴などのあらゆる決済データを収集・蓄積しており、それらのデータを「セサミクレジット(芝麻信用)」という同グループの信販会社が個人レベルで信用を「スコア化」しているのです。

 従来目に見えなかった「信用」を明確な数字で示されることで、人々はなるべく信用スコアを上げるよう、もしくは下げないよう行動しています。いわば、その信用スコアが個人の行動を制御しているのです。

 ライブコマースで虚偽の、あるいは間違った情報を流そうものなら、その人の信用スコアはたちまち低下するだけでなく、ユーザーも離れていきます。これ以上の不利益はありません。したがって、そのような不利益につながる行動は誰もとろうとしません。この信用スコアがもたらす行動制御のメカニズムもまた、信頼度の高い情報とフェアな取引を担保しています。

 加えて、ユーザー側からしても、アリペイで買い物をしたほうが自分の信用スコアが上がるので、それもアリババグループのタオバオライブを利用する強力なモチベーションとなっています。