仕事が速いとは「作業が速い」ではない

 私は、当時お世話になっていた師匠にそのことを相談しました。よく考えると師匠は私よりも忙しいはずなのに平然と仕事をしていたからです。そこで言われたのは「仕事が速いっていうのは、スピードが速いってことじゃなくて、効率が良いってことなんじゃないの?」でした。

 そこで私は雷に打たれた気分になりました。たしかに当時の私は作業のスピードを上げようということばかり考えていて、「効率を上げること」を一切考えていなかったのです。

 対して、師匠はどうしたら質と速さを両立できるかを常に考えていたのです。以降私は効率を考えて仕事をするようになりました。たとえば、最初は大変だったものの似た仕事を分類し、いくつかパターンにわけました。すると新しい仕事が来たときもベースはパターン化されているため、いちいちゼロから考えはじめるという必要がなくなり、劇的に仕事のスピードが上がったのです。同時に質が上がったことはもはや言うまでもありません。

 当時の言い訳ではないですが、昔から私にはやる気がありました。だからこそ、無理をしてでも仕事はやるもんだと思っていたわけですが、それは間違いでした。当時の私のように仕事にやる気があり、かつ体力のある人ほど力技でどうにかしようとしてしまいがちなように思います。

 ですが、そういったときこそ一度立ち止まって冷静に考えてみましょう。ちょっとした意識で変えていけることですので、皆さんの頭の片隅に入れておいていただけると嬉しいです。