デフレの影が忍び寄り、労働力は縮小と高齢化に直面している。不動産ブームは不動産不況に転じ、多額の負債という遺産(レガシー)が残された。豊富な現金を持つ消費者は財布のひもを緩めようとしない――。足踏みする現在の中国経済と、「失われた10年」が始まった当時の日本には多くの類似点がある。中国に投資する人々は既に10年またはそれ以上の年月を失っている。株価は2007年の水準を下回り、1株当たり利益(EPS)は2013年と同水準にある。中国株が世界でも割安なのは不思議ではない。問題は、最近の経済統計の弱さによって浮き彫りになった現在の停滞が行き過ぎかどうかだ。中国は「中所得国のわな」にはまり込んだ上、「未富先老」(豊かになる前に高齢化すること)にも見舞われているのだろうか。住宅不況から抜け出すことができるのだろうか。教育水準が高くて創造力に富む国民は、新型コロナ禍後の混乱が収まるや否や、これらの問題をなかったことにできるのだろうか。
中国「失われた10年」 日本化の恐れ
投資家は既に10年以上を失っており、コロナ後の経済再開で再び急成長するとの期待も崩れた
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