日本再浮上&AIで激変! 5年後のシン・業界地図#16Photo:metamorworks/gettyimages

年率20%超で売上高を伸ばす企業が並ぶSaaS(Software as a Service)セクター。日本の数少ない成長産業であり、人手不足や働き方改革も追い風だ。一方、今後は利益創出が問われる局面になり、戦略次第で業績や株価に大きな差がつく可能性もある。果たして5年後のARR(年間経常収益)の上位3社は?特集『日本再浮上&AIで激変! 5年後のシン・業界地図』(全16回)の最終回では、SaaSデータアナリストのぽこしー氏が、今後5年間のSaaSセクターの明暗を分ける戦略や各社の動向について分析した。(SaaSデータアナリスト ぽこしー)

2桁成長が見込めるSaaS業界
5年後のARR上位3社の顔触れは?

 国内の市場規模が7年前から7倍以上にまで成長し、直近では1兆円を超える市場となったSaaS(Software as a Service)市場。個別企業を見渡しても、ラクスやSansan、freee、マネーフォワードなどは直近数年間で売上高を数倍に伸ばしている。

 5年後の各社の数字を見る前に、SaaS導入が進む背景を確認しておこう。

 SaaS導入が進む背景には、商品力はもちろん、従来型のパッケージソフトと比較して初期費用が安く、システムメンテナンスが不要など、ユーザーにとってメリットが大きいことがある。人手不足や働き方改革も追い風となり、今後も中長期で成長が期待できる。月額で課金する形式が多いため、合わなければ手軽に切り替えられることも導入が進む理由だろう。

 富士キメラ総研の調査によると、SaaSの国内成長率は、直近の20%弱に対して、今後4年間の年平均成長率は10%程度と予想されている。スピードダウンするものの、依然として高水準といっていいだろう。また、国内トップレベルのSaaS企業でも売り上げ規模はまだ200億円台であり、潜在市場は大きい。

 一方、金融環境の変化もあり、売上高成長だけでなく、利益創出へのプレッシャーも高まっているのも事実である。コロナ禍の株価バブルは終焉し、株価が70%程度下落した企業も少なくない。

 今後SaaS企業はどのような成長戦略を描くのか。SaaSを分析するに当たって最重要指標であるARR(年間経常収益)の推移を中心に、5年単位でのSaaS業界を予想した。

次ページではSaaSの有力企業の具体名を挙げながら、ぽこしー氏がSaaS業界の5年後を分析。果てして、5年後のARRの上位3社は?また高成長を続けるための、二つのキーワードも解説する。