日本再浮上&AIで激変! 5年後のシン・業界地図#8Photo:kynny/gettyimages

超高収益企業キーエンスなど大手のFA(ファクトリーオートメーション)をはじめ、計測器、時計、複写機のサブセクター(副業種)から成る精密機器業界。特集『日本再浮上&AIで激変! 5年後のシン・業界地図』(全16回)の#8では、その未来勢力図を分析した。すると、キーエンスでは5年後「営業利益1兆円」の大台に到達する可能性があることも明らかに。コロナ禍で浮き彫りとなった、営業力だけでないキーエンスの「2つの強み」とは?(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

FA、計測器、時計、複写機…
キーエンスは5年後営業益「1兆円」も

 平均年収2279万円──。「FA(ファクトリーオートメーション)」大手、キーエンスの直近(2023年3月期)の有価証券報告書で明らかになった額だ。過去最高だった22年3月期(2183万円)を上回り、2年連続で最高額を更新。「日本最高峰」の同社の給与額が明らかになるたび、世間がざわめくのはもはやおなじみだ。

 その源泉は、日本企業の中でもまれに見る、筋肉質な高収益ぶりにある。業績を見ると、コロナ禍の影響で20年や21年こそ営業減益となったが、海外事業の好調などで急回復。23年3月期の営業利益は前期比19%増の4989億円と最高益を更新し、前期の営業利益率は54%に上る。

 キーエンスといえば、産業界で〝最強の営業部隊〟との呼び声が高い直販型のソリューション営業に定評があるが、強みはそれだけではない。精密機器業界を担当する三菱UFJモルガン・スタンレー証券の小宮知希シニアアナリストは、これまで世間的にもよく知られていたファブレスや直販営業など独自のビジネスモデルに加え、「コロナ禍の中で二つの強みが浮き彫りになった」と話す。

 キーエンスは営業マンを中心にグローバルで積極採用を進め、23年3月期に年度ベースで初めて、国内外の従業員数が1万人を超えた。巨大化に突き進む中でも、同社が爆速の成長を続けられる秘訣とは何なのか。

 次ページ以降では、そんな「高収益&高年収」の仕組みを解明するとともに、計測器、時計、複写機のサブセクター(副業種)から成る精密機器業界の主要各社の明暗を大分析。すると、今後5年で大化けが期待できそうな、ダークホース的存在も明らかになった。