元手65万円から資産150億円を築いた個人投資家の片山晃氏。インフレに転換するのであれば、日経平均は最高値の3万8915円を超えてくると分析しているが、銘柄選びのテーマは「日本株再発掘」だという。特集『日本再浮上&AIで激変! 5年後のシン・業界地図』(全16回)の#7では、片山氏が中長期で注目する業種や投資戦略から、さらには具体的な企業名までをロングインタビューでお届けする。(聞き手/ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)
押し目を拾うと報われる相場が続いて
日経平均3万8915円超えが視野に?
――33年ぶりに日経平均が3万3000円台まで上昇しました。今後5年間の日本株についてどう見ていますか。
目先は調整しそうな空気が漂っていますが、上昇基調が続いていくのではないかと思っています。「かつてなく日本株が面白く、魅力的」になっています。
あくまでも可能性の話ですが、デフレからインフレへの転換をメインシナリオとするのであれば、(1989年の最高値である)3万8915円はどこかのタイミングで超えてくるでしょう。ひょっとすると今年、あるいは来年かもしれません。
――やはり株はインフレに強い?
そうですね。「バフェット買い」や、東京証券取引所が主導するPBR(株価純資産倍率)改革も材料になります。オアシス(香港のオアシス・マネジメント)など、海外のアクティビストも日本株の成績は相当好調なはずです。株価の上昇は「インフレ」と彼らを含めた「海外勢の日本株の見直し」、この二つの組み合わせだと思っています。
また、来年は新NISAが始まるタイミングです。もう一度、投資に参加する人口が大きく増える局面が来ると思っています。自分が株を始めたのは2005年ですが、あのときはオンライン証券が日本にも出てきて、新たに証券口座を開設する人がどっと増えました。
――今回も当時と似たようなことが起こりそうですか。
今は当時よりも情報の流れが速い。デフレがインフレになるという仮定が実現すると、キャッシュを持っているより、株や不動産を買っておかないといけないという考えになりやすいでしょう。
これだけ株価が上昇しても、東証の時価総額は800兆円程度です。高齢者に偏っているとはいえ、1000兆円以上の預金の一部でも投資に動くことがあるならば、それなりに影響が出るはずです。押し目を拾うと報われる、「健全ないい相場」が続くと思っています。
――片山さんが中長期で期待している業種やテーマを教えてください。
“かつてなく日本株が面白く、魅力的”な相場では「日本株再発掘」も注目テーマになると語る片山氏。果たして、その真意とは? 次ページでは片山氏が注目する業界、さらには具体的な企業名まで紹介。大転換期の日本株相場で勝つ秘訣を含め、ロングインタビューをお届けする。