クラウド名刺管理サービスで急拡大してきたSansanは、昨今話題のSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)企業の代表格。さらなる成長を遂げるべく、主力の名刺管理から、直近では「請求書」管理の領域に踏み出している。特集『最強のテンバガー』(全18回)の#16では、同社の橋本宗之CFO(最高財務責任者)を直撃。非公式目標として「時価総額1兆円」発言も飛び出す中で、その勝算を聞いた。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)
時価総額3000億円企業に急成長
次の「1兆円」構想を明かす!
東証マザーズ上場後、今年1月に東証1部へ約1年7カ月という“スピード出世”を果たしたのがSansanだ。クラウド名刺管理サービス「Sansan」やビジネスSNS「Eight」などを展開する同社は、破竹の勢いでユーザー数を伸ばし、今や時価総額3000億円規模の企業へと成長を果たした。
調査会社のシード・プランニングによると、法人向け名刺管理サービスの市場規模は2019年時点で130億円を突破し、22年には152億円規模になると予測されている。Sansanは19年の売上金額シェアが83.5%に上る独占ぶり。20年5月期から黒字化しており、現在は売り上げの伸びを重視しつつ、利益拡大も狙える段階に入っている。
そんな成長著しいSansanは、「DX(デジタルトランスフォーメーション)×働き方改革」を体現する今どきのSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)企業の代表格。ただし、実は同業他社より強みとするポイントは、デジタル技術に加え、意外にもアナログ面の「泥くささ」にある。
さらに、その優位性も生かす形で、最近では「請求書」管理の新サービスにも踏み出した。なぜ、「名刺」の次は「請求書」なのか。さらなる成長を遂げる上で焦点となるこの新サービスの勝算や事業リスク、今後の展開をどのように考えているのか。
次ページでは、Sansanの強さの源泉を詳述するとともに、橋本宗之CFO(最高財務責任者)を直撃。非公式ながら「数年内に時価総額1兆円」発言まで飛び出し、成長実現に向けた策を明かしてもらった。